食品には、大きく分けて3つの機能があります。
1次機能とは栄養
2次機能とは味
3次機能とは体調を整えたり病気を予防する働きのことです。
3次機能をもつ食品を、とくに「機能性食品」と呼びます。
みその機能性については、科学的に究明され、多くの効用が解明されつつあります。
このような機能性は、継続的に食べることによって、威力を発揮するものです。
日本人はみそを、みそ汁という簡単な食べ方でずっと食べ続けてきました。それは、ただおいしくて栄養があるからではなく、みそにすごい力があることを経験的に知っていたからです。
がん予防、胃潰瘍の防止、コレステロールの抑制、老化防止、消化促進、整腸作用、美肌効果、脳の新陳代謝促進が主な効用で、その他にも放射線物質の除去など、数え切れないほどあります。
これらの働きが、今日では機能性といわれるものです。
みその種類別 主な栄養素みその主原料である大豆は良質のたんぱく質を豊富に含む食品で、「畑の肉」といわれます。みそは発酵によって、大豆にはない、またはあっても少量のアミノ酸やビタミンなどが多量に生成され、栄養的にさらにすぐれたものになった食品です。みその栄養は、米みそ、麦みそ、豆みそでは、若干異なりますが、中心になるのは大豆の栄養です。大豆のたんぱく質は、酵素によって加水分解され、約30%がアミノ酸になります。その中には生命維持に不可欠な必須アミノ酸8種すべてが含まれます。
その他にも、炭水化物、脂質、灰分、ビタミン、カリウム、マグネシウム、繊維質など、たくさんの栄養素が含まれます。一つの食品で、これほど多くの栄養を含むものは、例がありません。
みそ汁を飲む頻度の高い人ほど、胃がんによる死亡率が低い!これは1981年に、国立がんセンター研究所の平山雄博士によって発表された『みそ汁を飲む頻度と胃がんの死亡率との関係』の調査結果です。
みそ汁を飲む人と飲まない人を比べると、とくに男性では、全く飲まない人の死亡率は、毎日飲む人に比べて約50%も高いというものです。これは胃がんだけではなく、心筋梗塞、肝硬変などの場合にも同じような傾向がみられます。
みその成分中には、肝臓がんの発生を抑える作用があることが、実験で確かめられています。肝臓がんが自然発生する系統の雄のマウスに、「標準のえさ」と「みそ入りえさ」をそれぞれ16ヶ月間与え続けたところ、みそ飼料を与えたマウスは、腫瘍の数が減って小さくなり、また発生率も大幅に減りました。
みその抗がん効果の中でも、最近、とくに注目されているのが、乳がんです。みそにはフィト・エストロゲンという植物性の女性ホルモン作用物質が含まれていて、乳がんの発生を抑えると考えられています。
みそには、胃の粘膜を守る働きがあります。みそ汁を毎日、またはときどき飲んでいる人は全く飲まない人に比べて胃炎や胃潰瘍、十二指腸潰瘍などの胃の病気が少ないという研究結果があります。さらに、年齢別調査では、20~50歳代間では大きな差はないものの、60歳を超えると、飲んでいる人は、とくに胃の病気になりにくいという高い数値がでました。
コレステロールは、人間にとって必要な成分ですが、余分なもの、体内にたまって血管に付着し、脳梗塞、心筋梗塞、血栓症などの原因になります。みその主原料の大豆に含まれるサポニンには、血清コレステロールが上昇するのを抑える効果があり、レシチンや食物繊維には、コレステロールを除く働きがあります。みそに加工しても、これらの作用には変わりがなく、血中コレステロール値の上昇を抑えるだけで、下げ過ぎる心配はありません。
脳卒中の大もとの原因は、動脈の硬化です。サポニンは動脈を若々しく保ち、カルシウムは血液が凝固するのを防ぎます。カリウムと食物繊維は余分なナトリウムを体外に排出し、マグネシウムはナトリウムがたまるのを防いで、血圧が上がるのを抑えます。その結果、動脈が硬化するのを防ぎ、脳卒中を予防します。
老化というのは全身の組織、機能が衰えることです。それは血管や体細胞、脳細胞などがあげられます。この過酸化脂質が、さまざまな成人病をひきおこしたり、老化をすすめる大きな要素と考えられています。そこで老化の防止には、みそのような抗酸化物資を含む食品をとることが、重要なポイントになります
メラニンは皮膚や毛髪の色を決める物質です。紫外線などの刺激に反応して増加すると、シミやソバカスができます。みそに含まれる遊離リノール酸には、メラニンが合成されるのを抑える働きがあります。昔からみそを造る人の手は白くすべすべしているといわれますが、毎日みそ汁を飲むことで、美肌効果が期待できるのです
たんぱく質は体に欠くことのできない栄養素ですが、消化吸収には時間がかかります。ところが、みそに含まれるたんぱく質は、約30%が分解されてアミノ酸になっているので、消化吸収がいいのです。みそには、さらに活性度の高い消化酵素が含まれているので、いっしょに食べた食品も、消化吸収がよいことになります。
「みそは消化薬のような働きをして腸をきれいにする」と江戸時代のことわざにもあるほど、その効用は広く知られていました。大豆の繊維質が腸をきれいにし、みそ中の微生物が腸内の腐敗菌や有害物を体外へ排出します。
発酵食品であるみそには、ビタミンB12が含まれていて、これには造血作用を促進し、神経の疲労を防ぐ働きがあります。香りの高いみそ汁をすすると、ほっとして疲れが吹き飛ぶものですが、決して気のせいではなく、みそにはそんな力があるのです。
たんぱく質とビタミンB群を含む食品をとれば脳の新陳代謝がすすみ、頭の回転もよくなんります。さらに脳内での神経伝達の促進に欠かせないのがコリンとアセチルコリンです。このコリンが、みそ中のレシチンに豊富に含まれているので、みそは健脳食といわれるのです。
参考資料:みそ健康づくり委員会『みそを知る』